希望の国のエクソダス

希望の国のエクソダス (文春文庫)

希望の国のエクソダス (文春文庫)

中東の武装勢力に加担する日本人少年の映像が報道されたことをきっかけに、
日本中の中学生が学校を放棄。カタルシスへと向かう日本に警鐘を鳴らす。
2000年の作品。


かつて村上龍が日本の希望を託したのは、
安定化した社会にとらわれない生き方をした若者達であったが、
ついにその希望を託す矛先が中学生になったのか、と読んでいて驚いた。


元中学生の人生経験の少ない中から生まれる正論の理解に、
主人公の関口は違和感を感じつつもその違和感を表現することが出来ない。
大人社会の問題に気づきながらその社会の一員として存在している自分自身と
新しい価値基準で生きようとする彼らとの間に、永遠に埋まらない溝のようなものが存在する。


アジア通貨圏構想などの経済トピックスが、
今から見ると実現には至らずに懐かく思えた。