つたえるちから

NHKの番組に石田衣良がでていた。
番組の企画として「自殺を防ぐ童話」を作るまでの過程を追ったドキュメンタリーだ。
最初に、辞書をランダムに引いて
・がちょう(と同義の別の言葉だった)
・草書
・光学
の3つを物語に盛り込むべき題材として規定し、
ストーリーを作り上げていく。


石田さんが白紙にペンで言葉を落としてくと、
水面に波紋が広がるように、物語が広がっていった。


創作の現場はもっと猛々しく激しいものだと思っていたが、
静かな瞑想のような無意識の中から物語が沸いてくるらしい。


物語は2段階構成をとっており、
その話で登場する出来事と、その時の人の心の動きをサラっと話しているところを見て
ドキリとさせらてた。
何かを伝えたいとき、どのように表現するか。
作家は言葉を用いて、言葉では伝えられない思いを伝えていく。
表現力もさることながら、人の心の機微をそれだけ自分の中に持っていることに驚かされた。