複雑におめでとう

会社に向かう電車で「あつい、あつい」とブラウスの胸元をパタパタさせている女性がいた。
この冬に?という気もしないでもないが、確かに今日の都営地下鉄は暑かった。
今年の冬は例年よりも寒いそうですな。
夏生まれの私は、毎年冬は寒いくてイヤなので、1年毎の周期で訪れる我慢の季節に、前回よりも今回のほうがより辛いとはあまり思わない。
ズバリ「両方辛い!」で十羽一絡げの一刀両断。寒いの大嫌い。冬は苦手でございます。

毎日、何か「今日は良い一日だった」ということを噛み締めて残りの人生を生きていこう、と
前向きなんだかそうじゃないんだか良く分からない姿勢で生活を送るようにしてるんだけど、
そんな今日の良いこととして、会社の先輩の入籍のニュースがあった。
あの人いくつだろう?多分30歳ぐらいかな。
私も30まであと3年半というプチ親父で、いい具合に年を食ったんだけど、
「結婚」は正直言って対岸の火事という気がしていたし、その結婚した先輩もそう話していた。

「まぁ〜だ俺達にはケッコンなんてカンケーねーよぉ〜。は?小遣い制?俺ぁイヤだね!」
そう話しながら、焼き鳥食って、新橋でホッピーを飲みまくって、中身の焼酎だけお替りしまくって、
終電までまだあと一杯いける!
とか言いながら結局終電乗り過ごして、朝まで飲もう!と意気込んで午前2時ぐらいにお互いグロッキーになって
帰る当てもなくして週末の抜け殻みたいな新橋で二人で抜け殻みたいになっていたのなんて、ほんの1年前なんだ。

時間ってこっちの都合とは関係なく皆同じだけ流れていく、なんて死んでも言いたくなかったけど、
僕はあの時の泥酔の新橋の後、同じだけの時間を彼と過ごしながら、いつまでもあの頃の感覚のまま何にも変わらない。
酒を飲む度に酔って醜態さらして、その後恥ずかしくて布団かぶって叫びたくなるぐらい死ぬほど後悔して、
イキがって醜態を言い訳で隠そうとして、また後悔して、なんて自分を思うと、
強烈に自己弁護しないと崩壊しそうになるほどの自己嫌悪に襲われてしまったのだ。

でも、そのニュース聞いた時、素直じゃないけど正直嬉しかったな。
複雑な嬉しさって言えばいいのかな。

子供の頃、自分以外は全員宇宙人で、親も兄弟も友達もみんな、自分の見てないところで仮面をはいで
触覚とか出しながら新の姿をあらわすに違いない、という無駄妄想に悩んだ時期があったけど、
多少知恵もついて、
なんだ、皆おんなじ人間だった
という感じの嬉しさだった。
当然その先輩は僕と一緒に自分以外は皆宇宙人と思っていたタイプで、
彼のほうが一歩早くその事実にたどり着いたんだな、といえば分かるかな?
ちなみに、僕はまだその妄想の中の無限の住人をやってる。

今日で始まったばかりの2006年も12分の1が終了になっちゃったけど、今日はそんな一日だった。